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血管再生・心筋再生

研究紹介

高齢化社会において期待される医学研究=再生そして老化

古来より医療・医学の歴史は、感染症や「体」の生命活動としての連携システム(ホメオスタシス)の破綻への対策が主でした。 先人の絶え間ない努力により、多くの疾病が克服され、人類は、これまでにない長寿の時代(Era of Longevity)を迎えるに至りました。 しかし、この長寿社会の実態は、健康寿命との格差や、医療費の増加など、多くの問題が山積しています。 

長寿の時代の健康を脅かす難治性疾患の多くは、「体」自体が朽ちていく「老化」に関連するもので、従来の医学・医療の戦略では限界があります。 そんな中、ES細胞やiPS細胞などの生物の種を生み出す幹細胞の発見を契機に、「体(組織や臓器)」そのものを蘇らせるという、かつて「創造の神?」の領域とされたことが、医療の世界において現実味がでてきました。 再生・抗老化(アンチエージング)という新しい医学医療が今、注目(期待)される背景が、ここにあります。

体の再生・老化を考えるときに着目したもの=毛細血管!

ES細胞やiPS細胞などの生物の種を生み出す幹細胞の発見は、人類は「体」を蘇らせるという夢の扉を開けることになりました。 しかし、同時に、その扉の先に多くの克服すべき難問があることに気づかされています。 私は、この難問解決の糸口を「多細胞生物が維持するための根本的なものは何か?」 という本質的な問いから見出そうとしました。 結論として、その答えが「毛細血管」であるという考えにたどりつきました。

体の隅々に分布する最大の臓器「毛細血管」が、意外にも、これまで注目されてこなかったのは、全体像として可視化することが困難であることが大きな理由の一つです。 例えると、我々にとって必要不可欠なものだけれど、至る処に存在し、普段は見ることができない「空気」のようなものといえます。 幸いに、体組織内の毛細血管を詳細に「可視化」できる技術が開発され、多くの難治性疾患の病態に、毛細血管が密接に関与していることが示唆されるようになってきました(図2)。 さらに、一連の研究知見から、“毛細血管は多細胞生物(ヒト)が存在するための本質的な臓器である”という認識をさらに強く持つようになり、一連の毛細血管研究が、最終的に「失われた臓器を蘇らせる医学(再生医療)」や「臓器が朽ちていく老化を防ぐ医学(アンチエージング医療)」といった高齢化社会において期待される医療開発につなげれるのでは!と期待しています。