ファブリー病とは?
ファブリー病は遺伝子の異常が原因で、細胞内の酵素活性の欠損・低下により、さまざまな症状が引き起こされる「代謝異常症」の一つです。
酵素が欠損すると、体内の細胞に不要な糖脂質が蓄積されるため、手足の激しい痛みや皮膚の異常、尿の異常など、体のあらゆるところに症状が出現します。
遺伝子変異を持った本人から、お子さんに伝わる可能性があり、家系の中で代々受け継がれていく場合もこともあります。
また、ファブリー病は国が難病(特定疾患)と指定している「ライソゾーム病」に分類されている病気で、医療費の補助を受けられます。
次のような症状や家族歴のある方は、ファブリー病の可能性もあります
- 幼少時に手足の焼けるような痛みを経験したことがある。
- 暑くても汗をかかない、汗をかきにくい。
- 小児期より、赤紫色の発疹(被角血管腫)を胸から膝にかけて認める。
- 眼科で角膜混濁を指摘されたことがある。
- 20代または30代での脳梗塞の既往がある。
- 蛋白尿、腎機能障害を指摘されたことがある。
- 心肥大、冠攣縮性狭心症を指摘されたことがある。
- ご家族・ご親戚に、透析を受けられている方や、脳梗塞・心疾患・突然死の方が数名いる。
病気の進行を遅らせ、日常生活における QOL の改善を期待
酵素補充療法は、欠損したり活性の低下している「α-ガラクトシダーゼ」を製剤化した薬を点滴で補充し、体内で蓄積している糖脂質(GL-3)を分解・代謝する治療法です。
経口シャペロン療法は、活性の低下している不安定な「α-ガラクトシダーゼ」の構造を安定させ、細胞内で酵素として働けるようサポートする内服薬による治療法です。遺伝子変異のタイプにより適応が決まり、反応性のある変異をもつ患者さんにのみ使用できます。
ファブリー病は、適切な治療(酵素補充療法または経口シャペロン療法)を行うことで、病気の進行を遅らせ、日常生活における QOL の改善を期待することができます。
当科ではファブリー病のスクリーニング検査を行っており、北海道で最も豊富な診療経験を持つ施設です。
御心配のある方は、お気軽に当科に御相談ください。