EHRA 2025参加報告(2025年3月30日~4月1日、オーストリア・ウィーン)

2025年3月30日から4月1日まで、オーストリアウィーンで開催されたEuropean Heart Rhythm Association(EHRA) 2025に参加し、そのご報告をさせていただきます。

今回、「Success case of epicardial ablation of repetitive ventricular fibrillation associated with early repolarization syndrome」と題した演題でオーラル発表を行いました。

実は、本症例は私が研修医1年目の時に担当させていただいた患者さんで、当時は自分に何もできず無力感に苛まれた、非常に印象深い症例でした。

内服薬でなんとかコントロールされていましたが、最近になり頻繁に植え込み型除細動器(ICD)が作動するようになったため、専門の先生をお招きしてカテーテルアブレーション治療を実施しました。結果として、10年越しにこの難治性疾患に対しリベンジを果たすことができ、大変感慨深いものとなりました。

私にとって初めての英語でのオーラル発表であり、質疑応答では不十分な点もあり悔しい思いも残りましたが、先輩医師の方々の温かいサポートのおかげで無事に発表を終えることができ、大変貴重な経験となりました。私が不在の間も、病棟業務をサポートしてくださった関係者の皆様には、この場をお借りして心より感謝申し上げます。

海外の学会では、著名な医師の先生方の講演や発表を直接拝聴できることが大きな魅力です。特に今回は、ある著名な先生と私の発表症例について直接ディスカッションする機会も得られ、今後の財産となる経験となりました。

今後も引き続き、当講座から国際学会へ研究成果を発信できるよう、日々の診療・研究に精進してまいりますので、皆様のご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。

文責:徳野翔太

 


 

徳野翔太先生の論文が、Catheter Cardiovasc Interv に採択されました

論文タイトル:Revascularization of a Saphenous Vein Graft Ostial Stenosis in a Patient With Marfan Syndrome and a Previous Bentall Procedure Who was Resuscitated From Ventricular Fibrillation

徳野先生中川教授らは、右冠動脈への大伏在静脈グラフト(SVG)狭窄がVFの原因と判明したマルファン症候群患者に対し、困難な経皮的冠動脈インターベンション(PCI)によるSVG再血行再建に成功し、左室駆出率改善と不整脈消失を確認しました。

マルファン症候群は致死的不整脈リスクを伴い、困難なPCI症例でも心筋虚血治療が極めて重要であることを示しました。

Shota Tokuno, Toshiharu Takeuchi, Naoki Nakagawa
Revascularization of a Saphenous Vein Graft Ostial Stenosis in a Patient With Marfan Syndrome and a Previous Bentall Procedure Who was Resuscitated From Ventricular Fibrillation
Catheter Cardiovasc Interv. 2025 Jun 4. doi: 10.1002/ccd.31658. Online ahead of print.

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40468704/

石沢令奈先生の論文が、Clin Exp Nephrol に採択されました

論文タイトル:Efficacy of a mobile health application on self-management among Japanese patients with chronic kidney disease

石沢先生中川教授らは、慢性腎臓病(CKD)患者を対象に、健康管理アプリ「カカリンク」が自己管理を改善するかを評価する32週間の介入研究を実施しました。その結果、アプリからの情報提供は服薬遵守率や血圧・体重の客観的改善には繋がりませんでしたが、多くの参加者は自己管理に有用で満足度が高いツールであると認識しました。

本研究により、CKD患者さんがデジタルツールによる自己管理支援を求めていることが示唆され、今後、技術の進化と研究の深化により、CKD患者さんのQOL向上と予後改善に貢献するモバイルアプリの開発が期待されます。

Reina Suetsugu-Ishizawa, Hirofumi Sakuma, Motoki Matsuki, Seiji Itano, Hajime Nagasu, Hiroshi Morinaga, Haruhito A Uchida, Takashige Kuwabara, Toshiyuki Imasawa, Kazuki Yamada, Naoki Nakagawa.
Efficacy of a mobile health application on self-management among Japanese patients with chronic kidney disease
Clin Exp Nephrol. 2025 Jun 2. doi: 10.1007/s10157-025-02713-9. Online ahead of print.

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40455171