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常染色体優性多発性嚢胞腎(じょうせんしょくたいゆうせいたはつせいのうほうじん)

両方の腎臓に嚢胞が多発し徐々に増大することで、正常な腎臓の働きが失われてしまう疾患です。遺伝性であることがわかっていますが、現在のところ発症を抑える治療法は開発されていません。

この疾患は他にも、肝臓にも嚢胞を形成したり、脳動脈瘤や心臓弁膜症を合併することが知られています。尿検査で異常が認められない場合も多く、嚢胞が大きくなり腹部膨満感を自覚するまで気がつかれない場合も多くみられます。嚢胞内に感染や出血を来すことがあり、発熱や腹痛などで受診され発見される方もいます。

年齢を重ねるとともに嚢胞が増大および増加し、70才までに半数の方が末期腎不全に至るとされています。高血圧を合併することが多いですが、高血圧は嚢胞の増大をはやめてしまうとされており血圧の管理が重要と言われています。

最近、主に心不全治療に使用されるトルバプタンという内服薬が、嚢胞の増大速度および腎機能の悪化速度を抑制することが報告されており、当科でも適応と判断された方にお勧めしております。