HOME > 病気と治療 > ネフローゼ症候群(ねふろーぜしょうこうぐん)

ネフローゼ症候群(ねふろーぜしょうこうぐん)

腎臓の構造・機能によって、血液中のタンパク質は通常尿中にはごくわずかしか漏れないようになっています。さまざまな原因によりその仕組みが失われ、尿中に多量のタンパク質が漏れ出てしまう状態をネフローゼ症候群といいます。

血中のタンパク質が少なくなってしまう(低タンパク血症)と、血管の中に水分を留めておくことができずに血管外へ水分が漏れ出てします。それが、むくみ(浮腫)として自覚されるようになりますが、大量になると体全体がむくみ、さらに胸水や腹水が出現すると呼吸困難や腹部膨満感が自覚されるようになります。

血管内の水分が少なくなり血液が濃縮するため、重症の場合には血栓症を合併したり、腎臓の血流が少なくなると腎不全を併発し透析が必要となることがあります。

治療は失われたタンパク質の補充や利尿剤を使用するとともに、血栓予防のため抗凝固薬を使用することがあります。原因の推定が難しい場合には、腎生検により病理学的診断を行い、原因に対する治療法を検討します。

なんらかの免疫異常の関与が疑われる場合には、ステロイドや免疫抑制剤などによる免疫抑制療法を行うことがあります。

最近は、難治性・治療抵抗性ネフローゼ症候群に対しては、リツキシマブという生物学的製剤を使用することで良好な治療経過を得られる方が増えています。