HOME » お知らせ » 「腕をまくろう旭川2017」のご報告

「腕をまくろう旭川2017」のご報告

9月2日(土)、3日(日)、市民啓発企画「腕をまくろう旭川2017」を、フィール旭川まちなか市民プラザで行いました。「健康寿命の延伸は高血圧の征服から」を合い言葉に、休日にも拘わらずスタッフ・研修医30名以上に協力してもらい、お陰様で予想を上回る大盛況でした。

準備段階で広報にご協力いただきました報道機関の皆様をはじめ、ポスター掲示を快く引き受けていただいた多くの機関の皆様、当日駆けつけてくれた学生諸君にも心から感謝致します。

ほぼ一ヶ月という極めて短い準備期間にも拘わらず、9月2日10:00~12:00のみで66名、9月3日10:00~17:00で145名、計211名の血圧測定参加者を得ることができました。来場のタイミングが私の講演中(2日で4回)だったため、講演の聴講だけで帰られた方が発生してしまったのは大変残念で、皆さんに血圧測定していただければ250名を越える参加者であったものと思います。

ご両親と一緒に参加された4名のお子さん以外の207名のデータを、中川直樹講師が迅速に集計してくれましたので、取り急ぎその結果を皆さんと一緒に共有したいと思います。勿論今回の血圧測定企画は、高血圧の市民啓発を第一の目的としておりました。その際に、近年注目のSPRINT試験で採用された自動診察室血圧測定(AOBP)値と従来からの白衣下対面血圧測定値の相違が、このような集団・公開の場でどのように検出されるのかという点を、参加の皆さんに体験していただくと同時に、我々も知りたいと思い企画したものです。

AOBPは、最も奥まった会議室内にパーティションで区画することで閉鎖空間とした5つのブースで自動血圧測定装置 (Omron社 907型) 5台を用い、集団計測用レジメで3分安静後1分間隔2回の測定を行い、平均値を求めました。対面測定は、5人の白衣着用医師が手動加圧式血圧測定装置 (Terumo社 エレマーノ) 5台を用いて、各自の通常外来に準じて1~2分安静後1分間隔2回の測定を行い、平均値を求め、測定終了後は血圧に関する個別のアドバイスを行うと同時に様々な医療相談に応じました。

207名の血圧測定者のうち高血圧を指摘されている対象が79名含まれておりました。全ての参加者でいずれの測定法においても、収縮期血圧は加齢とともに上昇し、一定年齢から脈圧は増大するという生理的傾向が比較的明瞭に認められました。血圧測定参加者207名の測定値は、個人差は大きいものの、AOBP測定値と白衣下手動血圧測定値の間には、収縮期血圧5.2 ± 10.2 mmHg、拡張期血圧2.5 ± 7.4 mmHgの差が認められました。

個人差は大きいものの白衣現象の要素は高齢ほど大きく検出される傾向が見られました。すでに高血圧を指摘されている対象は、79名と少ないものの、収縮期血圧差5.6 ± 12.0 mmHg、拡張期血圧差2.9 ± 8.8 mmHgと白衣現象の要素は認められ、加齢に伴う一定傾向の変化が見られました。

今回は集団・公開の場での血圧測定企画として、初めてAOBP測定値と白衣下対面血圧測定値を比較しました。個人差は大きいものの、血圧測定値には一定の傾向を検出することが出来ましたし、今後考慮すべき方法論上の問題点も検出されました。

参加者の皆さんには、対面測定時に得た医師からの個別の解説やアドバイスの意義が大きかったものと思われ、多くの感謝の言葉もいただきました。新たに高血圧の可能性を指摘された方々の気づきや血圧管理不十分の可能性を指摘された方々へのアドバイスが今回の市民啓発企画の最も重要なポイントであったと思います。

私のミニレクチャーも歓迎していただきましたが、いつもの悪い癖でつい時間を忘れて盛り沢山にしたため、講演の聴講だけで血圧測定に参加せず帰ってしまわれた方が発生したのは本当に残念でした。減塩食品のサイコロ抽選会やクジ引き抽選会も好評でしたし、減塩キャラクターの「良塩くんとうすあ人」のステッカー(独自に作成)配布も好評でした。企画としては、学園祭のような盛り上がりであったと思います。

竹内利治医局長の発案で作成されたスタッフジャンパーもなかなかの出来映えで、参加スタッフ全員の結束をはかるために絶好のツールとなりました。また、企画としての最大成果の一つは、この日新たに入局を決めてくれた仲間が誕生した事でもありました。

このような企画を成功させられた事は、我々の大きな自信となりましたし、財産でもあると思います。健康寿命の延伸に向けた高血圧の征圧を、市民啓発の点からも一層進めなければならないとの決意を新たにしました。

最後になりますが、本企画の後援をお願いした日本高血圧学会、日本高血圧協会、日本循環器病予防学会、旭川市医師会、旭川医科大学医師会の皆様に心より感謝申し上げます。

長谷部直幸